グッチー

ニトラム/NITRAMのグッチーのレビュー・感想・評価

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
3.5
オーストラリアで実際に起きた、銃による無差別殺人事件をテーマにした作品でした。

似たような主題の映画として、「エレファント」とか、「静かなる叫び」とかを思い出しましたが、本作以上に犯人の異質性が際立っている作品はなかったかなぁと思います。

父親の死により純粋な思いから犯行に至ったようにも見える反面、日常的な暴力や運転中にハンドルを触るなどの行動を見ていると、どうにも異常な人間だったんだなぁという感想以外なかったです。

映画的には、オーストラリアの自然の綺麗な映像とともに、常に何が起こるかと不安を感じるような雰囲気が漂っており、一瞬も気が抜けないような独特の緊張感がありました。

あぁいう子どもがいると常にあれくらいの緊張感をもって生きるのかと思うと、ラストの息子の犯行のニュースを聞きながら縁側でタバコを吸っている母親が、本当に可哀想に見えてきました。

実話に基づく作品なので、ドストエフスキーの「罪と罰」みたいな文学っぽいところを求めるのは違うかもしれませんが、ちょっと犯人が異常すぎて感情移入は最後までできなかったなぁという印象でした。

こういう人の手に銃が渡らない社会になって欲しいと、ただ祈るばかりです。
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