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ニトラム/NITRAMのreinaのレビュー・感想・評価

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
3.5
「僕は、僕以外になりたかった。」

母親との最後の会話のシーンは思わず引き込まれた。なりたい自分や、なるべき?自分に努力してもなれない。ありのままの自分自身と周りが求める像との乖離に苦しむ主人公。自分自身と向き合い続けるのに疲れて、努力するのにも疲れ果てても、自分自身からは逃げられない。ずっと自分の顔を見ているのは疲れる。だから人は友人やパートナーなどと時間を過ごしてこれを誤魔化してやり過ごす。

劇中で主人公を蔑称「ニトラム(nitram)」と呼ぶ人はいても、彼の名前「マーティン(martin)」と呼ぶことはない。彼に親身に寄り添う父親くらいには名前で呼んで欲しかった。ただ、そのままでいいんだよって。
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