わっP

ニトラム/NITRAMのわっPのレビュー・感想・評価

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
3.8
終始つらかった
彼にとっての都合の良い歯車は狂い、
都合の悪い歯車が噛み合ってしまったような展開はどこかで救われる道はあったのかと思わされる。
そもそも知的障害が無ければ、何ていうのはたらればでしかないが
そんなたらればがずっと付きまとう映画だったと感じる。

もし、両親の愛情がもっと良い方面に出ていたら
もし、ドライブの時ちょけてなければ
もし、銃販売店の人が規則を守っていたら
もし、テレビをつけていなければ

なにより、好きになってしまった彼女が平凡な暮らしだったなら

当日の朝からの緊迫感が凄まじく、
実際に発砲する場面や血がスクリーンに出ることは一度もないのだが
どれほど凄惨なものか容易に想像がつくのが恐ろしい。
彼が行動に移す瞬間はどちらも窓やフロントガラス越しに観る形になり
映画を観ている自分には彼から向けられるものは無いのだと安堵を覚えた。

銃規制についてのモノローグで幕を下ろす本作だが、込められたメッセージ性はもっと深く難解な問題である。
彼は軽度ではあるものの、車を運転でき、コミュニケーションも取れる。
一人で生活だってできるのだ。
わっP

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