ビョーキノオタク

ニトラム/NITRAMのビョーキノオタクのレビュー・感想・評価

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
2.0
幸薄そうな青年が幸薄そうな女性と出会って良かったような悪かったような映画。

あのままヘレンと出会わなければ、先に朽ちていく親の庇護を受けられないままマーティンも終わっていただろうし、
ヘレンに出会わなければ彼が能動的な行動を起こすこともなかっただろうしクルマもライフルを買うこともできなかった。
パパが死ななければマーティンの心もここまでおかしくなることはなかっただろうし、
起きること全てが最悪の結末に向かうための材料になってしまっているのが気持ち悪い(褒め言葉)

マーティンのパパは、知的障害を持つマーティンを自分の一生をかけて養っていくつもりだったんだろうけど、老いで体力が無くなり、逆に若くて体力があるマーティンは気に入らないことがあれば暴力で解決することを覚えてしまった。
(それを見ているのに助けに入らない母親も怖い)

たとえ家族であろうと、人は根本的に孤独なんだなってことを言っているみたいで大変精神衛生上よろしくない映画である。(褒め言葉)


救いのない話なのに、映像は逆光のカットが多かったりレンズフレアを活かした、いわゆる「エモい」映像なのが岩井俊二イズムを感じさせる。