このレビューはネタバレを含みます
現実には主人公の身に何も起きず、"棺の中が空になっていた"という不可思議なニュースを観るほんの数秒を、鑑賞者は2時間以上を掛けて体験させられたというオチなのだろうか。
ニュースはテレビをつければ次々と流れて行き忘れられ去られていくものだが、日常のふとした瞬間に目にとまる不可解な事件の背景に想像を巡らせ(あるいは事実なのかもしれない)、テレビの画面を通して現場に没入し、画面から得られる情報を元に推理するべく頭が瞬間的にフル回転するフローな状態が時間を贅沢に使って描かれているように思える。
つまり、もしかしたらペトロフはインフルにすら罹っていないのかもしれない。
何はともあれ、Badな日常に潜む些細なトリガーと卓抜したクリエイティブな才能は時に、危険なまでの過剰な想像力を生むものである。