39

MEMORIA メモリアの39のレビュー・感想・評価

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)
4.0
アピチャッポン作品にはあまり足を踏み込んだことがなくて、観たことあるのは『ブンミおじさんの森』のみ。だけど、「アピチャッポンっぽい」というのがすぐに理解できる独特の世界観ですんなりと入り込めた。ずっと同じテーマで映画撮り続けてくれるオリジナルの色がある監督、大好き。

頭内爆発音症候群、という架空の病気…かと思いきや、監督が実際に患った経験があるとか。さすがアピチャッポンともなると普通の人がかからない病気に悩まされることになるのか、なんて人事のように思って映画を見ていたら、これは煩わしい病気だ。自分がなったら嫌だな~なんて思いつつ、映画を見ていると不思議と音がそこまで不快には聞こえてこない。コロンビアの土地、人々との関わりを通じて、物語が進むだけ音の存在に愛着が湧いてくる。そしてそう感じさせたあとの原因不明の病気のオチのつけ方が素晴らしかった。音の表現、とてもこだわったんだろうなと制作の過程を想像してしまう。

爆発音、緑が風で揺れる音、小川のせせらぎ、ティルダ・スウィントンのスペイン語…、日ごろ都会の喧騒で疲れた耳へのご褒美のような音たちだったので、音響にこだわった劇場で見れたら良かったな
39

39