このレビューはネタバレを含みます
監督自身が悩まされていたらしい頭内爆発音症候群。ストレスが原因のようだが、コロナ禍のストレスもあったのだろうか。漁師?のエルナンは「経験は有害」「記憶の嵐を制御できなくなる」と語るが、コロナ禍にあって何が本当か分からない膨大な情報の波に絶えずさらされれば、そりゃ頭もおかしくなるだろうと自身の経験からも思う。
映画ではサウンドエンジニアのエルナンが忽然と姿を消して、後半に漁師のエルナンが別人として登場したり、ラストでは宇宙船まで出てきて超現実的。漁師のエルナンは自身の役割を記憶の”ハードディスク”と表現して、ジェシカをその記憶に反応する”アンテナ”と表現するが、この映画は冒頭でジェシカが寝ているところから始まることも踏まえて考えると、この映画は現実を映したものではなく、全てジェシカの夢の中の話で、各登場人物もジェシカ内の潜在意識と捉えるのが自然なのだろう。