Hideko

パリ13区のHidekoのレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
4.5
原題: Les Olympiades, Paris 13e
英題: Paris, 13th District

新しいモノクロ作品を見る度に思うのですが、何故敢えてモノクロにするのかと…。本作はお洒落で華やかなパリという既成概念を見事に取り払い、そこに暮らす、世界中から集まってきた人々にまつわる全ての偏見を、モノクロにすることによりニュートラルに魅せているという点でモノクロ正解、いやモノクロでなければならなかった監督の意図がはっきり分かる気がしました。

台湾系フランス人のエミリー
アフリカ系フランス人のカミーユ
フランスの地方からパリに出てきたノラ
元ポルノスターのアンバー

唯一の男性であるカミーユと3人の女性の現代的恋愛模様。心身共に健康な若者ならば、セックスに盛んなのも頷けるので自分としては特にそのシーンが多いという印象は一切無く、流石フランス映画、見事に描き切ってくれたなという印象です。今を懸命に生きる4人それぞれの生活と精神性がつぶさに語られており、既視感のない新鮮さに心打たれました。

エミリー役のルーシー・チャンがキュートで魅力的。小悪魔的要素とフレッシュな両面を持ち合わせているようで、本作でスクリーンデビューの彼女、これからの作品に期待大ですね。

いわゆるバリバリのハリウッド映画にあるような起承転結が無い、これと言ったストーリーが無いという感想を持たれる人もいるかも知れませんが、日常生活の一コマ一コマを語っただけなのに非常に印象に残る作品です。だって、エンディングの素敵さなんか堪らないですよ。自分にとってはですが今年一の傑作と言ってもいいかも知れないですね!👏🏻

普段あまりフランス映画を観ない人は、期待値低めで観るのがおススメかとは思いますが🤭
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