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パリ13区のslowのレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
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いじらしさに透ける本性。不完全を肯定する殺し文句。優位に立ちたいという腹にさえ目をつぶれば、描いていた理想と現実が掛け離れていたとしても、わたしの価値だけは担保される。これは欲望や羨望とはまた別の、あくまで希望的観測。窮屈な体を、使い捨てられる真実と使い果たされる嘘が流れ、たまらず誰彼、額と額を重ねたくなる。この距離でまだ、目を開けられずにいるのだから、この街はおろか、この部屋からも踏み出せない理由は、他にあるはず。
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