Pinch

パリ13区のPinchのレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
3.4
よくある話に毛が生えた程度――ではないかもしれないけど――のシンプルなプロットはいいんだけど、こういう日常のゴタゴタに対する否定感も肯定感も中途半端で、このお話自体が日常の瑣末事に埋もれて終わっている印象を否めない。そこを超える「何か」を意識していない映画のように感じた。その「何か」の可能性を秘めるエミリーとアンバー、その「何か」の可能性が枯渇したカミーユとノラがそれぞれ繋がるのは喜ばしくあるが、おそらく破局が訪れ、また似たことが起こる。人生がその繰り返しであることは皆身に染みて分かっているので、今さらどうでもいいんじゃないか。「何か」をもっと覗かせてくれ。またはそのはかなさをリアルに映し出してくれ。

というのは、日常の恋愛にありがちな、求める相手を間違えた私の身勝手な要求です。そうか、それこそがこの作品のテーマなわけですね!
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