李

わたしは最悪。の李のレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
3.8
7月の新作ラインナップはすごいですが、ずっとずっと公開が楽しみだったこの作品を最初に。

同じシーンなのに、右のお姉さん鼻すすりながら泣いてるし、左のお兄さん笑ってるし、大共感映画にもコメディ映画みたいにも映るんだなあと、名前も知らない2人の間で1歩下がりながら見てた。"愛してるけど愛してもない"ってセリフとか、私にはそれがどういう気持ちなのか分かるようでよく分からなくて、この映画を見ながら泣いてる方がとても羨ましかったです。ユリヤの選択ってえ、浮気やんけ、、と私は浅はかに思ってしまったけど、この映画はその、人を好きになる気持ちと自分の気持ちに正直に突き進むことを否定もしなければ肯定もしないでずっと等身大のユリヤに寄り添う。そこがこの映画の良いところ。現代は結婚しなくても幸せになれる時代だけど、といいつつ結局恋愛・結婚の存在に手を焼きながらこうやって、自分はこれでいいのか、なにも上手くいかなくて私って本当に最悪って思いながら、誰しもが手探りで前に進むんだろうな。ずっと未熟というか。

その中で主導権を握ってるのが運命とタイミング。そこをこの映画は章の名前にもしながら、しっかり描写していてとても面白かった。自分はこの人とこのまま一緒にいていいのか、今の自分に対して悩んでいる時に"ちょうど"出会う。2人がこれは浮気じゃないよねと別れたあとに振り返るタイミングが微妙にズレる演出がとても好きだった。そもそもユリヤがあのパーティーに行かなければアイヴァンとは出会ってないし、選択・運命・タイミングですね、こっちが敷かれたレールに歩かされてるみたいでちょっと怖くなる。他のシーンで、うわーここで出会ってなければアクセルと一緒に居続ける道もあるんだろうなーと思ってみたり。

予告にもダダ漏れてた魅力たっぷりの映像表現もとても良かった!マジック🍄のシーンが1番凝ってたな。好きな人に会うために止まった時間の中を走るシーン(好き同士の2人だけの世界を可視化したみたいで素敵だなと)、あと何よりタバコの煙を吸わせるあのカットが私は1番好きでした。ただ、全体的に期待しすぎてた部分があって、思ってたよりだったなーと思いながら劇場を出つつ、終電に乗りながら、翌日これを書きながら、なんだかんだ不思議な余韻が頭をぐるぐる… 恋愛の高揚感と、一人の女性の失敗と成長の物語、2つを綺麗に融合させた魅力的な作品です。私も経路はどうであれ、誰かに君は最高だよ生涯で1番好きだったと言われたい、、し、自分の今後に対して不安しかないのだけど、周囲からの視点じゃなくて自分の好きな選択をしながら生きたいなーと。とりあえず今月は映画館三昧する🥰
♪I said goodbye to me / Harry Nilsson
李