はぐれ

わたしは最悪。のはぐれのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.1
冒頭の暗闇のスクリーンから次第に聴こえてくるAhmad Jamal TrioのI Love Music。そこにパーティーの喧騒から離れてバツが悪そうに佇むヒロインの姿が視界に飛び込んでくる。このファーストシーンでガッチリと心を鷲掴みされてしまった🥺

わたしは最悪。あんなに優しくて理解のある彼氏さんがいるのに浮気じゃないと勝手な基準を作ってそれを振りかざして浮気をして、その浮気した事実を伏せて彼氏さんをこっぴどく振り、新しい男を作り、その男に早々と幻滅をしてキレて怒鳴り散らし、元カレの元にまた舞い戻っては自分の罪悪感を拭い去るために献身的に振る舞おうとする。もう救いようのない自己中の性悪女なんだけどなんか憎めないのよね(笑)人間失ってからじゃなきゃその大切さに気付けないどうしようもない生き物だよね。

映画自体はヒロインが書いたコラムを読んだ時のコミック作家の彼氏さんの寸評と似ている。全てに共感は出来ないけどとにかく良く出来ている。
彼氏さんは彼女との相性がこの上なくピッタリなことをこれまでの経験を積んだ上で確信しているんだけど、彼女さんはそれほどの恋愛歴を踏んでいないからさらに運命的な出逢いがあるのではないかと期待してしまっている。これ歳の差カップルに付きまとう永遠の問題だよね。多分永遠にわかり合えない。まさに人生だよね。

自ら選んだ選択肢に後悔しながら決してベストエンドにはたどり着けないと分かっていながらも進んで行かなきゃいけない人生の旅路。そんな彼女の想いを綺麗さっぱりと洗い流してくれるジョビンの『三月の水』。ラストの選曲がズルすぎる🤦🤦
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