このレビューはネタバレを含みます
絶対後悔する、とわかっているのに。重要なことを放り投げ、誰かを傷つけるのに、逃げ出してしまう。私は最悪。誰しもが思ったことがあるだろう。少なくとも僕はある。
ロマンティックな雰囲気で、とてもスウィートな、まさに映画的なシーンに引き込まれる。しかし後半は、かなり刺さるものがあり、ラストは悲しく、現実的だ。すぐには人は変われない。
だけれども、この終わり方が、ファンタスティックな結末に纏めない、過去を受け継ぎすこしずつでも未来へ進む誠実さが、この不穏な時代に必要な在り方に思える。何を感じ、どれだけ罪深かろうと、何度足を踏み外そうと、もがいて生きること。異世界に転生することも、世界を救って死ぬこともないのだから。