青豆

わたしは最悪。の青豆のレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.4
“わたしは最悪。“
そう自分が窓口で申し出てからも、次から次へと、老若男女、数多くの“最悪“たちが次々と来場してきた。
ユリヤが最悪ならば、自分も含めこのシアターにいる殆どの人間が最悪だろうと思う。状況や程度は様々かもしれないけれど、人を傷つけたり、嘘をついたり、裏切ったりしたことがない人なんて、そしてその結果“わたしは最悪だ。“そう思った事がない人なんているのでしょうか(聖人君子&サイコ野郎除く)。
人は誰もがユリヤであると同時にアレクシであり、時にアイヴィンでもある、生きるというのはそういうことなのではないかと思います。

“君は最高だ。“
タイトルと対極にあるこの台詞が放たれたシーンこそが、一番の愛の瞬間だったと思う。(わたしはこのダサい邦題に萎え続けていたんだけど、深い意味のあるタイトルだったんだな。)
それから沈んでゆく夕日には胸打たれた。赤、青、黄の窓ガラス。最悪なわたしを最高と言ってくれた人のことを思い出す。
アンデルシュ・ダニエルセン・リー素晴らしかった。
これをバッドエンドと捉える方もいるかもしれないけれど、“ジョゼと虎と魚たち“を思い出すような、静けさと前向きさの混在したラストは、とても自分好みでした。
青豆

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