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わたしは最悪。のtntnのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
3.6
再鑑賞。
いけすかない親戚の連中が、ペタンクに興じるのがめっちゃ面白い。
一回目よりは楽しめたけど、やっぱりノレない要素の方が多いな。
正直言って、この作り手は、人文学も創作も政治的活動も、ナメてね?






かなり散文的で弛緩した印象は終始拭えず、演出意図が緻密に張り巡らされている映画とも思えなかった。オープニングが、あのショットである理由とかよくわからないし、章立て構成がそこまで効果的とも思えず。中盤の仕掛けから確かに映画に引き込まれるけど、それまでが少し長いなと感じてしまった。
選択肢が無限であるからこそ、結局どれを選んでも「正解」と思えないというユリアの不安は、ロールモデルが完全に無効化している時代に共鳴する。
ワイン飲み放題の金持ちパーティーはキモいし、生殖や育児を手を替え品を替え薦めてくる親戚一同は押し付けがましい。「ウーマンスプレイニング」の件、ジェンダートピックの雑語りが飛び交う会話のキモさが完璧に再現されていて凄かった。metoo以降の価値観がどんどんアップデートされている状況は未来志向が加速しているとも言えるわけで、それは間違いなく良い傾向なのだけれど、恋愛や家族や仕事という課題に直面する時には、そうしたアップデートが通用しないこともある。だから辛いのだけれど。
(加速を表す名であるはずの)アクセルは老いや死に孤独に対峙するようになり、だからこそ彼とユリアとの最後の対話が響く。
ラストでグッと胸を掴まれたから満足感は強い。やっぱやりたいこと見つけて生きていくしかない。
色々調べて考えたらまとめよう。
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