ぼっちザうぉっちゃー

わたしは最悪。のぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
3.8
奇しくも3連チャンでGAGA配給作品鑑賞。

『リコリス・ピザ』でも感じたようなとりとめのなさが、今作でははっきりと章立て進行し、より散文的でエッセイのような脱力感とユルい空気感が印象的だった。
それがそのまま、“私の人生はいつ始まる?”と何かを待ち続ける主人公が常に持つ満たされなさや一抹の焦燥とか不安のニュアンスとつながっていて、言わば「ごく普通の人生」そのものだった。

そのなかの、結婚や子作りという女性にとってのライフステージの大転換期に、
パーティーの喧噪から外れた虚しさや、周りの大人たちに囲まれた時の孤独といたたまれなさという、微妙な若人の肌感が大きく反映されていて、『レディ・バード』の大人リアル版みたいな繊細さを感じた。

そして持続可能な生き方や子供という次世代の苦労、「最悪」な人生のこれからと、何かを待ち続けた「時間」、それら全てを置き去りにして走り出すクライマックスが、終盤であったり、映画としての答えではなく、あくまで序盤の一つの章における衝動として登場するのが良くて、ドラマチックじゃない人生に、不意の圧倒的ロマネスクを添えていた。