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わたしは最悪。のKtoのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.3
ミレニアル世代が必ず観るべき映画といっても過言ではないかもしれない。

医学、心理学、書店の店員、カメラマンという変遷。
客観的に見れば「持てる者」である主人公だが、どこか満たされず延長されたモラトリアムの中で「じゃない方」の道を選択し続けた結果、年齢相応のスキルや経験のない大人が出来上がる。
SNSによって、「隣の芝」の情報に触れ続けることで、当てもない転身を繰り返して不足感が拭えない感覚は、現代特有なのかもしれない。

流産でホッとした顔になるのも、親として自立した存在になれていない彼女なりの救いだったのかもしれない。

等身大で共感するところも多く、爽やかで美的な映像に包まれているので、遠目に見れば「最悪」なのかもしれないけど、近距離でみると「それでも悪くないな」という何故か明るい気持ちにさせられる良作だった。

暖かい人生讃歌。
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