Kota

わたしは最悪。のKotaのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
3.5
“自分が最悪の人間に思えたが、抗えなかった。”

鬼才ヨアヒム・トリアーとレテーナ・ラインズヴェというこれまた鬼才の女優が生み出した秀作。終始映画的でありながらリアリティがあり、新しい映画なのにクラシックを感じさせるような不思議な魅力に満ちた作品。

ユリアという女性の20-30代を12章仕立てで描く。同年代だから色々考えさせられた。自己主張が強く言いたいことは言えても、結局それが正解かどうかの自信なんてないし、一般的な結婚や出産、家族観や人生観に逆らいながらも、それを否定してるわけではなくて、ただ、分からないんですよってスタンスが良かった。やりたいことも好きな人も、自分の望みも幸せもコロコロ変わるユリアは最悪であり最高でもあったのかもしれない。行き詰まると切り捨てるのはそんなに悪いことでは無いと思う。

自分の人生もある出来事の区切りでチャプター仕立てにして、この一連はこの章でしたって俯瞰してナレーションなんかつけちゃったら、嬉しいこともどん底なことも映画みたいになりそう。評価がそこまでなのは単純に女性であるユリアにどっぷり感情移入できなかったからだけで、自分の選択にちょっぴり自信が持てる良い作品だなと思った。
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