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カサブランカ・ビーツの作品紹介

カサブランカ・ビーツのあらすじ

カサブランカ郊外の町シディ・ムーメン。元ラッパーのアナスは、⽂化センターで若者たちにヒップホップをえるためにやって来た。町に住む⼗代の男⼥は、それぞれに抱える思いをラップとダンスで表現する術を覚え、やがて⽂化センターでコンサートを開催する。だが、貧困、宗教、根強い男尊⼥卑の⽂化などの問題が彼らの前に⽴ちはだかる…。

カサブランカ・ビーツの監督

カサブランカ・ビーツの出演者

原題
Haut et fort/Casablanca Beats
製作年
2021年
製作国
フランスメキシコ
上映時間
106分
ジャンル
音楽クライム

『カサブランカ・ビーツ』に投稿された感想・評価

[モロッコ、不満と魂をリリックに乗せて] 50点

2021年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。カサブランカ郊外に若者向けの文化センターを開設した監督本人の実体験を基にしているらしい。本作品の主人公は、自身もラッパーであるアナス・バスブーシ演じるアナスである。彼は文化センターで子供たちにラップを教えるために見慣れぬ土地に踏み込んだ。映画は大きく二つのパートに分かれている。一つはアナスと生徒たちの交流風景である。ラップでは宗教や政治のことは話せないといった議論、ラップの練習、みんなで部屋の壁を塗り替えるなど全員が仲良くヒップホップ道を極めていこうとする姿が描かれる。もう一つは文化センターの外側での生活風景である。男女平等かつ自由でいられる"ステージ"としての教室と対照的に、外の世界は男尊女卑、家父長制、イスラム教などが存在し、生徒たちを様々な形で苦しめている。アナスの雑なヒップホップ史によると、ヒップホップはチュニジアのジャスミン革命とそれに続くアラブの春において、政府や現行システムに抗う手段としての強さが証明され、だからこそ日常生活から見える社会/世界への不満を魂ごと歌詞に乗せるべきだ!としている。

昨年のベルリン映画祭コンペ部門に選出されたマリア・シュペト『Mr. Bachmann and His Class』という作品がある。これは、多種多様な背景を持つ生徒が集められたバッハマン先生の教室を1年追ったドキュメンタリーである。この作品の中で、バッハマン先生は生徒たちに対して自分の頭で考えてそれを徹底して言語化させることを促す。そうすることで、持っていた偏見などを表面化させ、間違いに気付かせるのだ。本作品でも似たようなディスカッションが、生徒の間だけではあるが登場する。しかし、200分かけて数回の授業を深掘りした同作に比べると、生徒本人の描き方も議論の描き方も深みに欠けていて、正直劣化コピーといった印象を拭えない。しかも、冒頭と終盤に自分の人生論に沿ったお説教みたいなのが入るので、バッハマン先生の授業は受けたいと思ったが、アナスの授業は特段受けたいとは思わなかった。

それでも、ラップという武器を得た生徒たちが、旧来の価値観を押し付けてくる人々にラップを使って対抗する姿は確かにパワフルで、自信と自己表現力を味方にした人間が本当に社会を変えることができるだろうという信念が伝わってくる。

2021年カンヌ映画祭コンペはこれにて終了。この年はお友達の"巨匠"たちを並べただけのコンペだったので、次の年のコンペ作品発表前に全部揃ってしまった。また、24本中6本に4.5/5を、10本に"平均未満(3.0未満)"を付けたという、評価が二極化した年でもあった。審査員の真似事をすると、以下の通り。

・パルムドール:『TITANE / チタン』
・グランプリ:『インフル病みのペトロフ家』『Everything Went Fine』
・審査員賞:『パリ13区』
・監督賞:濱口竜介(『ドライブ・マイ・カー』)
・男優賞:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(『ニトラム / NITRAM』)
・女優賞:レナーテ・ラインスヴェ(『The Worst Person in the World』)
・脚本賞:ブリュノ・デュモン(『France』)

パルムドールと女優賞、男優賞は変わらず。本家もグランプリは二つ選出しているのでこちらも遠慮なく。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

4.0
【歌え、踊れ、戦え!】
第74回カンヌ国際映画祭にて出品されたモロッコ、フランスの合作『Casablanca Beats』を観ました。ナビル・アユチ監督といえば、「死ぬまでに観たい映画1001本」に掲載された『アリ・ザウア』やある視点部門に出品された『Horses of God』で有名な監督である。以前、紹介した夢見るニューヨーカー・ローラがエジプトでダンス修行する『Whatever Lola Wants』も彼の作品だ。『Casablanca Beats』は日本公開猛烈希望な魂揺さぶる作品でありました。

厳つい顔した男Anasがアートセンターにやってくる。おもむろにスプレーで壁をペイントし始め、センター長に怒られる。そんな彼は若者にラップを教えにやってきたのだ。少年は拙いリリックを披露する。クラスメイトはブーイング。Anasは「俺はそんな曲買わないね」と言う。「だって誰もリスペクトしてくれない。」と言えば、「では、歌詞を変えようとしてきたか?」と辛辣に言い返す。次の青年は、それなりに上手いリリックを披露する。だが、これに対して「それで問題解決したか?」と斬り捨て泣かせてしまう。だが、授業の終わりに、女学生が披露する「アラビアン・ナイトでもない、バービーでもシンデレラでもない。危ない橋渡って行こうぜ!」と魂揺さぶる歌詞に、少し態度が変わる。

Anasはその人にしか語れないリリック。社会に対する怒りを歌って、踊って、戦うことに意味があると考えているのだ。だから二人の生徒の誰でも言えそうな歌詞を斬り捨てたのです。このアートセンターには、親に内緒で通っている者もいる。職探ししていると親を騙しながらこっそり通う女学生がいたりする。センター長は、揉め事になると運営に支障を来すため、そういった生徒をよく思っていないが、Anasは圧をかけて居場所を維持しようとする。

教室では激しい議論が行われる。モロッコ社会にある男尊女卑、男は男として生まれたことが特権になっていることを議論の中で知る。教室の中では対等なのだ。どんどん熱気づき、初日に泣いた子も、ボイスパーカッションで積極的に関わっていく。その様子にAnasから笑みが溢れる。生徒のためにできることはなんだろうか?と即席録音スペースを作り、個性を伸ばしていく中で現実が聖域を壊しにやってくる。

『Casablanca Beats』は何故、音楽をやるのか、何故人はラップで歌うのかを突き詰めた傑作だ。激しいディスカッションの中で社会に対する怒りが言語化され、それが鋭いビートと身体表象によって形成されていく。現実を変えることは難しい。でも、音楽で変えられるかもしれない。現実を知っている先生は、厳しい顔の下で、若者に戦う武器を授けようと静かに努力する。確かに荒削りな作品だ。早々に、Anasは生徒と打ち解けるし、舞台もほとんど教室だったりする。なので人によっては物足りない作品かもしれない。しかしながら、拙いながらも自分の言葉の杖を鍛錬し、押さえ込もうとする親や社会から脱しようとする魂の叫びは私の心をざわつかせました。