甲越

コンパートメントNo.6の甲越のレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
4.2
列車の終着駅であり、北極圏に位置するムルマンスクで迎えるクライマックスがとても良く、ラストのワンカットにこの映画の素晴らしさが凝縮されている。そして映画館を出た後にこの映画の余韻がじわじわとやってきて、本当の自分を見つめることの大切さを優しく気づかせてくれる。ラウラとリョーハの二人は決してスマートに生きてきたわけでもなく、むしろ不器用で、自分に自信があるわけでもない。それでも何か変わろうとしているが、何が正しいのか分からずにいる。そんな二人が偶然にも出会い、紆余曲折あって、お互いを理解することで、大切なことに気づく。押しつけがましいところは一切なく、人生ってこういうことかなとすごく自然に受けとめられた。なお、ムルマンスクは北緯68度58分、モスクワから北に2000kmある。列車は何日かをかけて走行しているようだか、二人がお互いを理解し、行動を起こすためには、このくらいの時間設定が必要であろう。雪深い情景と合わせて、絶妙な設定だと思う。
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