や

コンパートメントNo.6のやのネタバレレビュー・内容・結末

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

人生で一番好きな映画「キャロル」だった人間なのですが、並び立つくらい好きな作品だ…………と慄いています。めちゃくちゃ良かった。

かろやかで、かわいくて、切なくて、ままならなくて、でも後味さっぱり。
人間同士、他人同士、ましてや電車の客室ではじめて出会った同士なんて尚更分かりあうのは難しいけれど、それでも(いやそれだからこそかも)深いところでは通じ合えたりもする。
かといってその関係に名前が付くことはなく、永く続かない刹那的なもので、この交流を敢えて分類するならそれは「愛」だよね!ワハハ!(心からの笑み、目には涙が滲む)っていう……
湿度満点になりがちな命題をこってりしすぎない形で見せてもらえる凄い映画でした。こってりしすぎない、の塩梅もすごくて、カラッとしてるわけではないんですよね。寧ろメイン2人は結構面倒くさい(人間くさい)不器用ズだからもだもだして後ろ足を踏んで湿っぽくなる。でもジメジメまではいかない……みたいな。言語化難しいネ……

この映画、現代で生きる人には響くシーンがそれぞれにある気がする。人によってどこが一番響くかは違いそうですが……
どうあがいてもいいよね!なシーンも多いけど(下手くそ似顔絵の裏のくたばれとか)。
私は雪の中でこどもみたいに転げあってケラケラ笑ってるラウラとリョーハが大好きです。

あとは、ラウラがこれまで居たコミュニティに感じていた居心地の悪さや、そんな中でイリーナに恋をしていた心情はものすごく刺さりましたね……憧れで見ないふりをしていた居心地の悪さ、そしてそこからもがき出ようとする苦しみ、離れることで少しずつ向き合えるようになっていくこと…… このあたり、心に刺さって大分痛かったです。
や