1990年代のロシアを舞台に、フィンランド人の女学生を主人公にしたロードムービー。
ロシアでロードムービーなので移動の基本が列車とはいえ、客車内での密室劇では無く、車に乗ったり、船に乗ったり、街をそぞろ歩いたりします。
モスクワ留学中のヒロインが、恋人の女教授とムルマンスクの遺跡を観に旅するはずがドタキャンされ、列車のコンパートメントにはスキンヘッドの酔っ払いが居てセクハラするは、子連れの母親が勝手に乗り込んでくるは、女性乗務員は助けてくれないは・・・の地獄旅行で心が折れそうになるのだが、やがて・・・という話。
一応原作はあるらしいが、原作者の了解を得て、まるで別物くらいにアレンジしている様だ。
監督の前作はモノクロだったのに対して、今回はレトロな色合いの絵作りで光が美しい。物語は前作と同様に淡々と進むけど何とも言えない感動を呼び起こすして飽きさせない。
ロシアが舞台でほぼロシア人とロシア語の世界なのに、間違い無くフィンランド映画の臭いがするのが凄い。
でも、あの彼の立ち振る舞いは、凄いロシアの男って感じでもあるんだよな。
下手に触れたら壊れてしまいそうなノスタルジックな瞬間を映像化したような作品。
すっげぇ良かった!という訳では無いけど、忘れがたい・・・そんな映画。