1990年代のロシア、寝台列車でたまたま一緒の客室になった学生と坑夫。
フィンランド人の学生ラウラとロシア人の坑夫リョーハは言語も違えば気質も違う。旅を通じて正反対の二人が少しずつ打ち解けていく。絶えず曇天の空に雪景色、寒々しいロシアの厳しい自然が車窓に流れ、終盤の目的地は一層深い雪の大地が続くのだけど、観すすめるにつれてこちらの心も暖かくなる。
好きなものが違っても腹の立つものが一緒なら分かり合えるのだ。ラウラが予期せぬアクシデントに巻き込まれた時リョーハがふと呟いた言葉は普段なら乱暴すぎると思うかもしれない。しかしこの言葉がラウラにとってどんなに心強かっただろう。ジワジワと言葉を噛み締め破顔するラウラに泣けてきた。
伏線回収がキレイに決まったラストも好き。ぶっきらぼうなリョーハらしい別れの挨拶も湿っぽくなくて軽やか。呆気ないのもとても好みでした。