さみわん

コンパートメントNo.6のさみわんのレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
3.8
ムーンライトながらという夜行列車があった。
まだ若かった私は、青春18切符を胸ポケットにしっかりしまい、息も白い深夜のホームから、列車に飛び乗った。色んな人が列車には乗っていて、客席は空いておらず、乗客の殆どは眠りについていた。仕方なく客席ではなく出入り口のドア近く、荷物を詰め込んだバッグの上に腰掛けた。通路の壁に背中を預け、寒さに首をすぼめながら、いいじゃないか、こんな旅の始まりの方が後々思い出す時に楽しいものさと思ったものだ。あの時隣で同じ様に寒さを凌いでいたあの人は、何処まで行ったのだろう。挨拶くらいしか交わさなかったが奇妙な連帯感があった。

旅は道連れ世は情け

主人公の旅を通じあの列車を思い出した。
ほら、やっぱり思い出すのはあの廊下。
扉の窓から差し込む、眩しい朝日の光だ。
爽やかさの残る素敵な作品、良い旅でした。
さみわん

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