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コンパートメントNo.6のなのレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
3.7

走行音 機体が揺れぶつかる音
窓に当たる水音、軋む何かの音 なんていう音なのか名称が分からない音、風
服を脱ぐときに起きた静電気の音、ブーツを脱ぎ捨てる音
音楽も効果音もないのに音に敏感になる
空洞がなくて密
音の響き方ひとつひとつに耳がいく
心を細やかに揺さぶる

一喜一憂の繰り返し、繰り返し
表情と音、オーラまで色がコロコロ変わる
眼光も口元の緩みもするする伝わってきて素晴らしかった、伝わるというのは心情なだけ、真実ではないところ。
同じ時間の長さでも、喜びのひとときより一憂の時間の方が長く感じる
表情で語る
ストレートな危なっかしさがあるようで優しい着地
疑いの目、興味、浮かれ、信頼、裏切り、期待
正解だと思っていた数分後、数時間後、これは間違いかもと揺れる
安心と不安の行き来が波のようにある映像
人の感情次第で人生の見え方がただ変わっているだけで、現実はみな平等にあるようにも思う
複数の感情が重なり合うからむずかしいだけで。
口では多く語らないところがすごく人間らしい
目や口で語る全てがすべてではないことを改めさせられる
信頼できるかどうかは、自分が感じ取ったその人の切れ端を思いに沿ってコラージュして決めればいい
自分の信じるものだけでいいっていうのが真髄

一発目のリョーハへの不快感が凄く効いてた
最後、ふふっと笑えるのがよかったね
な