カラン

コンパートメントNo.6のカランのレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
4.5
フィンランド人の女がモスクワから、北極圏のムルマンスクという都市に永遠の長距離列車に乗って向かう。レズの女は極北の地で岩絵を見るのだという。2等客室で丸刈りにした粗暴なロシア男と相部屋となり、、、

7割くらいは寝台列車内であるが、狭いところで35mmフィルム用のカメラを取り回す。無味乾燥になりそうだが、カラーグレーディングが優れており、クローズドのフレームを艶やかに染め上げる。3回くらい映る窓の闇に浮かぶ光源のショットも、見事である。女がこの列車に縛りつけられて、他に行き場所がない、列車を降りても戻ってこざるを得ないのを、丹念に描写している。

フィンランドは旧ソ連に侵略された。女はレズビアンで、素性は不明だが言語学と考古学に関心を持つ大学人。男はネオナチ風のマッチョで、がさつで金のない労働者。この対立する2項を、ムルマンスクという地の果てのユートピアに縛りつける監督の手腕に感嘆する。

レンタルDVD。
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