ペコリンゴ

フラッグ・デイ 父を想う日のペコリンゴのレビュー・感想・評価

4.1
記録。
この愛だけは本物

ショーン・ペンが15年の構想を経て、ジャーナリスト ジェニファー・ヴォーゲルの回顧録を映像化。実娘ディラン・ペンとW主演。

芳しくない評価も多い作品ですが僕はこれ凄く…
好きだっ!(剛田猛男風)

主演男優として二度のオスカー獲得、また監督としても高い評価を得るショーンのマルチな才能を存分に味わえた気がします。

全米最大級の贋札事件。
その犯人は…父親だった。

裁判を目前に逃亡した父ジョン(ショーン)の犯罪の顛末を聞いた娘ジェニファー(ディラン)は、”平凡な日々を見違えるほど驚きの瞬間に変えた”父との想い出を回想する…。

贋札事件そのものは全く重要な要素では無く、嘘を重ね責任感も薄く決して良き父親とは言えない男と、成長するにつれ父の実像を知っていきつつも断ち切り難い愛を感じる娘の人間ドラマ。沁みました。

ショーンが本作の脚本を読んでまず浮かんだのがディランの顔だったそう。また、当初は自身が出演するつもりは無かったらしく、同役をマット・デイモンにオファー。しかしマットやプロデューサーに強く押され父娘役を演じることに。出番は少なめなものの、息子のホッパー・ジャック・ペンも出演しています。

かなりパーソナルな配役ですが、
それが結果的にこの作品をより愛に満ちた作品にしたのだと感じました。

成長し独り立ちする娘、
一方で相も変わらず取り残された形の父。

互いに愛を抱きつつ、決定的な隔たりのある2人の再会シーンは絶品。ショーンの表情、眼差し、顔に刻まれた皺の一つ一つが観る者の感情を抉ります。

16mmフィルムで撮影された映像や音楽のチョイスもセンスに溢れ、流れるのは切なくも心地良い時間。

映画館でこういう作品観てる時ってなんだか…
幸せだなぁ(加山雄三風)