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ベルイマン島にてののんchanのレビュー・感想・評価

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)
4.1
多くの巨匠たちにも多大な影響を与えたイングマール・ベルイマン。
ベルイマンは1966年にスウェーデンにあるフォーレ島で生活をし始め、そこで人間の本質に迫る多くの良作を発表し続けた🌟

ベルイマンの熱狂的支持者というミア・ハンセン=ラブ監督が、ベルイマンの原風景のあるフォーレ島を舞台にし、現代の映画監督カップルを主人公としたヒューマンドラマにしている。
ラブ監督自身の実体験が挟み込まれていて、自分と元夫オリヴィエ・アサイヤス監督がモデル。


クリス(ヴィッキー・クリープス)は監督として認められてまだ日が浅い。新作を書く原動力にするために幼い娘を親に預けて、既に人気監督の夫トニー(ティム・ロス)とベルイマンの聖地である島に渡って来る。
自然いっぱいの環境は素晴らしく、ベルイマンを感じながら、倦怠期気味ではあるが、優しく気遣う夫と良い距離感を作りながら執筆を始める。
それが劇中劇となって紡がれるストーリー。


キャストの演技が申し分ない。
ヴィッキーは『ファントム・スレッド』『コロニア』他の演技で既に人気女優だが、素朴で飾らない内から溢れる輝きが素敵だった✨

ティム・ロスは言うまでもないが、親子ほどの歳の差は監督とアサイヤス監督が26歳差なんですね、なるほど。なんの違和感もなく抑えた演技も流石でした。

劇中劇の主人公はミア・ワシコウスカ扮する映画監督のエイミー。島での友人の結婚式に出席するためやって来る。そこで15歳の頃に恋に落ちたヨセフと再会し、胸がキリキリと痛む恋愛映画が展開される。


『鏡の中にある如く』『仮面/ペルソナ』『ある結婚の風景』等、撮影場所が分かるので興味深く観入りました✨


※ベルイマン・エステート
クリスたちが島に滞在するときに利用した滞在制度。
世界中のクリエイターや学者たちに開放されたフォーレ島の施設は、申請時にコミュニティに対して文化的な還元の仕方をプレゼンし、申請が通ると無料で宿泊施設が利用可能になるそうです。
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