ハンスウ

ベルイマン島にてのハンスウのレビュー・感想・評価

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)
3.9
ベルイマン島っていうのはフォーレ島っていう島のことみたいですね。この島でイングマール・ベルイマンという巨匠が何本か映画を撮影して監督自身も暮らしていた島だということです。監督の人となりについても触れられていますが、芸術家だけに気難しい面の方が大きかったようです。

巨匠っていっても私はベルイマン作品ほとんど観たことないです。2本くらい観たことあるかもしれないけどまったく覚えてないから観てないに等しいです。今後もよっぽどのことがない限り観ないかもしれないですね。スウェーデン映画自体観たことない。いや、大女優イングリッド・バーグマンのスウェーデン時代のを何本か観たことあるくらいです。

それくらい馴染みのないウェーデンを舞台にした映画ですが、最近活躍のフランスの女性監督が演出しているのと、映画の話をしてるというのもあって興味深く観ることができました。

この島にはベルイマンが住んでた家とか撮影した場所とか、いろいろ残っていてかなりの観光資源になっているようです。世界中から観光客も集まる。前半はほとんど観光PRビデオみたいな感じもします。それはそれでおもしろかったからいいです。

主人公はそれぞれ別々に活動してるらしい映画監督の夫と脚本家の妻という夫婦なんだけど、見た感じだと年の差夫婦で妻の方が若いんですよ。後半に差し掛かると夫婦である前に(男と女)ということをやろうとしたのか。まだ若い妻の性的な渇望のような、そんなことを構想中の脚本の世界を通して表現していて、その世界を劇中劇として別の俳優が演じたりしています。完全に女性視点で世界を構築していくんだけど、そんな女性のゆらめきや混乱や渇望などが立体感のあるキャラを通して描かれてます。

だけど脚本の世界からはなれると、現実のこの夫婦には一時的に離れていた子供がいて、再会すると母親の顔に戻る。そんな映画でした。はい、たまにはこんなのも良かったです。
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