てるる

トリッキー・ワールドのてるるのレビュー・感想・評価

トリッキー・ワールド(2021年製作の映画)
4.2
「ピザ 死霊館へのデリバリー」「ペーッタ」のカールティク・スッバラージ監督作。

基本的にダヌシュ出演作はハマらないことが多いんだけど、これはバイオレンスなギャングもので面白かった!
ダヌシュ主演作としては「マーリ」に近い。

タミルで恐れられるギャング・スルリがロンドンのマフィア・ピーターに雇われる。
その任務は同胞であるシヴァダスを倒すことだった。

シヴァダスはイギリス人を爆殺、ピーターは銃殺&撲殺、スルリも銃殺とオープニングから人を殺しまくり。

しかし悪党どもの三つ巴の戦いが、人種差別、移民問題などに移り変わり、意外な展開になっていくと同時に、スルリにも変化が訪れる。

スリランカでシンハラ人とタミル人が内戦を繰り広げていたことを知らなかった。
セイロンとも呼ばれ、紅茶が有名だから平和にお茶摘んでる国だと思ってた。

また、イギリスにおける人種差別問題。
白人至上主義を掲げ、移民排斥を叫ぶ人々。

インドのカースト制度は過去のものと言えど、未だに身分差別が蔓延ってる。
そこでスルリが言う「国を出たらインド人はみんな白人に見下される」というセリフは言い得て妙。

そんな社会問題を提起しつつも、バイオレンス、銃撃戦、裏切りやロマンスなどクライム映画としてのエンタメ度も高い。

たまにダヌシュが引くくらい悪どい表情してみせたり、シヴァダスとピーターの会合でのぐるぐる回るカメラワークが不穏さを煽ったり、スッバラージ監督の上手さが光る。

インド映画と欧米映画を上手く融合させた秀作。
ネトフリはこういう映画をもっと作って欲しい!
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