みりお

崖上のスパイのみりおのレビュー・感想・評価

崖上のスパイ(2021年製作の映画)
3.2
名匠チャン・イーモウの新作で、かつ昨年のアカデミー賞の、長編国際映画賞の中国代表作品。
日本軍の中国に対する仕打ちを世に知らしめるため、日本軍の施設から命からがら逃げ出したとある人物を国外に逃がそうと奮闘するスパイたちの暗躍を描く作品。

テーマ的に覚悟はしていたけど、目的のためならどんな姑息な手も厭わない日本軍が描かれていて、作風は反日本色が強いかなぁ💦
コロナ禍最盛期に製作されたなので、国民の不満を外へ向けるため、過去の歴史を掘り返してでもプロパガンダ的作品が作りたくなる気持ちもわかるし、思想は自由だし、そこにどうこう言いたいわけでは決してない。
むしろこんな作品が全国30館以上で上映予定である、日本の徹底した思想の自由保護には頭が下がる。

ただそういうナショナリズムやプロパガンダ的な要素を省いて観ても、私にはあまりハマらず😂
まずキャスト陣の名前をほぼ呼び合わず、冒頭顔が隠れたままストーリーが進み、かつバックグラウンドがほぼ語られないため、登場人物に感情移入できないどころか、区別がつかない。
二重スパイがバレないかというヒリヒリ感が、本作の見どころなのだろうけど、ようやく顔が明らかになっても「これ誰だっけ?」の連続💦

そして本作で一番美味しいポジションをもらっている、小蘭役のリウ・ハオツン。
見惚れてしまうくらい可愛い顔だけど、その可愛さと頼りなさ故に、全くスパイに見えない。
スパイの中に放り込まれた中学生くらいにしか見えなくて、定期的に現実に引き戻される。
チャン・イーモウに数年前に見出され、彼の最新作に2本続けて出てるらしいし、明らかにチャン・イーモウが好きそうなクリクリお目目の幼顔なので、そういった雑念も頭をよぎり、なおのこと集中できない😂
御年70歳の巨匠は、冷静な参謀を近くに置くべきでは?と言いたくなる始末でございました🌀

ただピンポイントに好きだったのは、スパイたちの服装と、アナログなスパイ技術🕵️‍♂️
様々なデザインの黒のロングコートとハットを着こなしていて、引きで撮られた画がすんごいカッコいい✨
終始雪が降り積もる中、黒い衣装を翻して舞うようにスパイ活動をする4人や、そのアナログなスパイ技術を観ていると、近年のスパイ映画にはない美しさやこだわりに拍手したくなりました👏
PCの前に座って情報を盗んだり、監視技術で敵を追い詰めるのではなく、いま目の前の相手と全身全霊で向き合うあの感じ、すごくカッコいいなぁ🤤✨


【ストーリー】
1934年冬、満州国のハルビン。
ソ連で特殊訓練を受けた共産党スパイ・チームの男女4人が、極秘作戦“ウートラ計画”を実行するため現地に潜入する。
ウートラ計画とは、秘密施設から逃れた同胞を国外に脱出させ、日本軍の蛮行を世界に知らしめること。
だが仲間の裏切りによって、そのミッションは共産党の天敵である特務警察に察知されていた。
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