ねむろう

弟は僕のヒーローのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

弟は僕のヒーロー(2019年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

2024新作_009


弟は、僕の世界の”破壊者”で”救世主”


【簡単なあらすじ】
5歳のジャックは初めてできた弟に大喜び、しかし両親から弟ジョーは「特別」な子だと聞かされる。ジョーがスーパーヒーローだと信じるジャックだが、やがて「特別」の意味を知り、思春期を迎えると弟の存在を隠すようになる。ある日、好きな子を前についてしまった嘘が、家族や友達、町全体を巻き込んで、やがて取り返しのつかない事件となり――。



【ここがいいね!】
ダウン症を抱えた弟・ジョーをめぐる、兄・ジャックの成長譚という作品だったように思います。
そんな中で、そこからさらに友情の話であり、恋の話であり、そして家族の話に広がっていました。
実際に、上位時間も 1 時間半程度というところで、作品の内容としてはいろんなことがトントンと進んでいくので、シンプルにまとまっていたかなと感じます。
特に、ジャック役のフランチェスコは、非常に男前でありながら、少年から青年になっていく、そしてダウン症を抱える弟の兄と、様々な青年期特有の心の不安定さ、葛藤をよく醸し出していたなと思います。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
このような「障碍」を扱う作品の難しいところではありますが、ジョーの存在をないことにして、どうにか新しい世界に飛び込もうとしていたジャックが、最終的には嘘がバレて、一度は世界から突き放され、もう一度弟と向き合い、立ち直ろうとするお話だったわけです。
しかし、そのような流れの中で、ジョーが奇跡的な力を発揮して、周りを笑顔にしてしまう、周りの上手くいかないことを良い方向に向かわせてしまうという、まさに「スーパーパワー」を持った人物のように描かれてしまっている用に感じました。
ジャック以外の家族も、「聖人」のように描いていて、ジャック以外の家族はジョーのことを、どういう風に思っていたのかというところも、もっと深く描いて欲しかったです。
また、何よりジョー自身の生きづらさもきっとあると思うので、そのあたりも描いていかないと、某「24時間テレビ」のような「感動ポルノ」になってしまいがちですし、この作品もそういう向きはあったのかなと思います。



【ざっくり感想】
やはりこのような「障碍」を扱う作品を観るときに、どういう気持ちになっていいのか、毎回迷うところではあります。
そんな中でも、ダウン症の人はいるし、ダウン症の子がいる家族はあって、ダウン症の子が属している人コミュニティはあることは確かです。
そのことに思いを馳せるところから理解が深まって、そして私のような人間の元にも、関連した情報が届いて、正しい理解が進んでいってほしいなと思いますし、私自身もその理解を深めていかないといけないのだなと、改めて思わされる映画でした。
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