メイマーツインズ

かもめ食堂のメイマーツインズのレビュー・感想・評価

かもめ食堂(2005年製作の映画)
4.0
【名作を観ようシリーズNo.111】

《人は時とともに変わり続ける…》

”食〟映画の旅、第九弾は和食の魅力に溢れているこの名作を。
Netflixにて再鑑賞。


10数年前の初鑑賞の時に比べ、今はこの作品で表現されている情感がジンワリと伝わってくる…
このゆる〜い空気感が女性的過ぎて、若い時には合わなくて。
人が変わり続けるのと比例するかのように、同じ映画でも感じ方が変わってくるもので。
このゆるさが今は心地良い。

フィンランド・ヘルシンキの和食食堂を舞台にした物語で、北欧のシンプルで静寂な空気感は日本の侘び寂びに通じるものがあり、舞台としてはこの上ない。

日本のソウルフードといえば、おにぎり。
この作品でもおにぎりは特別な存在。
親が握ってくれたおにぎりは格別で、ずっと記憶に刻まれている。”愛情〟という隠し味が入っていたからかな。
とんかつ、からあげ、肉じゃが…
日本が誇る家庭料理を美味しそうに食べるフィンランド人の笑顔。
やはり美味しい料理に国境はない。

ラストの終わり方が、ユーモアがあって、この作品らしく力が抜けていて素敵。
フィンランド映画の巨匠アキ・カウリスマキ監督作品に通じる世界観で、この作品がその後の日本映画に大きな影響を与えたのは間違いない。
”日本愛〟に包まれた逸品です。