一休

ローラとふたりの兄の一休のレビュー・感想・評価

ローラとふたりの兄(2018年製作の映画)
5.0
スイスで天ぷら学生をしていた頃から、「フランス人は嫌いだけどフランス映画は好きだ。」と言い続けて35年。
たまにはアメリカ語以外の映画を観たくなる時がある。

男・男・妹の兄妹であるローラは、いつも兄たちの心配をしいて、その兄同士の諍いにも辟易している。
仕事だけが存在意義の様な下の兄ピエールは、眼鏡屋を経営している長兄ブノワの3回目の結婚式で、今度の嫁さんの名を間違えるというやらかしをしてくれる。
もちろん、これで兄弟間の亀裂は決定的になってしまう。
しかも、運悪く解雇されてしまったピエールは、留学させてる優秀な息子いるの、で経済的にもダメージを受けているにも関わらず、それを誰にも言えないでいる。
ブノワはブノワで、「妊娠した。」と報告した妻に対して「そんな事は考えていなかった。」と最低の発言をする。
弁護士であるローラは、自分が担当した離婚裁判の夫側であった男性ゾエールから慕われ、ついに同棲し、結婚を申し込まれるまでになっている。
それなのにローラ若年でのは閉経を迎えようとしており、ゾエールとの間に子どもを作る事が出来ないと知った事で、別れを決意してしまう。
それぞれに、それぞれの問題を抱えながら、それでもお互いを支え合おうとするこの兄妹の問題は、どう解決されるのか?といったストーリーだ。
いろんな選択肢がある中で、もちろんそれなりにハッピーに終える事が出来るよ、というエンディングを迎えるのだが、そこに無理がないというのは如何にもフランス映画らしいところだ。

それにしても、ヨーロッパがEUになったおかげで、フランスの片田舎なのに以前では見られなかったほどに色んなメーカーのクルマが登場する。
ローラが乗っているのはルノーだし、ピエールが乗っているのはプジョーの最新型、体格のいいゾエールが乗っているのはメルセデスのスポーツバンだ。
それに合わせるように、フランス人とは言いながら、登場人物の出身地もアチコチと違う役者さんのようだ。
その点、ハリウッド映画では登場人物のアイデンティティーに関係なく無理矢理感満載でキャスティングしているのだが、フランス映画では何故だか自然に見えるという所も、たまにはフランス映画を観たくなる一休なのであった。
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