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アーミー・オブ・シーブズのRのネタバレレビュー・内容・結末

アーミー・オブ・シーブズ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2021年のドイツ/アメリカの作品。

監督は主演でもあるマティアス・シュヴァイクホファー。

あらすじ

田舎町の銀行の窓口係として働くセバスティアン(マティアス・シュヴァイクホファー「オッペンハイマー」)はある日、天才的なスリの腕を持つグウェン(ナタリー・エマニュエル「ワイルド・スピード/ファイアーブースト」)からワーグナーの「ニーベルングの指環」にちなんだ伝説的な4つの金庫を襲う計画を持ちかけられ、強盗団の仲間たちと共に金庫破りに挑むのだが…。

2021年に、あのザック・スナイダー監督作で、デイヴ・バウディスタ主演でNetflixで大々的に配信された「アーミー・オブ・ザ・デッド」。俺自身も結末はあんまり好きじゃないけど、Netflix製作ということで大いにお金がかかったこのゾンビ映画を楽しんだわけだが、本作はそのスピンオフ。

ということで、見よう見ようと思いつつもかなり寝かせてしまったわけだが、ようやくこの度鑑賞しました。いやぁ、面白かった!

お話はあらすじの通り、「アーミー・オブ・ザ・デッド」の前日譚ではあるんだけど、時系列的にはまだゾンビパンデミックが起こり始めたくらいの感じで、スピンオフと言っても肝心のゾンビ自体はニュース映像でその被害の端々が映されるのとそのニュースを見た主人公セバスチャンが見る夢に出てくるくらいで、あくまでも「予兆」というか「匂わせ」程度。

じゃあ、何が描かれるのかというと主人公セバスティアンによる「金庫破り」もっと言ってしまえば、そんなセバスチャンが仲間入りするそれぞれ卓越した技術を持った強盗団による「ケイパーもの」となっている。

なるほど、そうきたか!という感じなんだけど、主人公がバウディスタ演じた前作のウォードではなく、セバスティアンというのは納得!だって、1番キャラ立ってたもんなぁ、俺も1番好きなキャラ。

今作でもアシメの前髪長めの奇抜な髪型でトム・ヒドルストンに激似なマティアス・シュヴァイクホファーが演じるセバスティアンは普段はめちゃくちゃビビりでウザめなやつなんだけど、金庫を目の前にするとオタク心剥き出しになるというユニークなキャラ全開!!

しかも、今作監督がザックではなく、マティアスが自ら監督もかって出ているというから、余計その魅力をわかってる分、キャラが濃くなっている感じがする。

で、そんなセバスチャンが加入することになる強盗団もわずか4人という少数精鋭ながら上記のまんま峰不二子(吹き替えだとそのまんま沢城みゆきが担当!)なセクシーなスリ、グウェンをはじめ、セバスチャンにライバル心剥き出しなチームリーダーで武闘派のブラッド・ケイジ(スチュアート・マーティン「REVEL MOON PART2-傷跡を継ぐもの」)、チームのドライバーでマイメンなロルフ(ガズ・カーン)、そして天才ハッカーのコリーナ(ルビー・O・フィー「アスファルト・バーニング」)とセバスティアンに負けじとキャラ立ちまくりのまさにそれぞれが特殊技能を持ったプロ集団!という感じでまた良い!!

特に個人的な推しはやっぱコリーナ!!ハッカーキャラながら、見た目はギャルっぽくてイケイケというキャラとしての新鮮味もありながら、計画実行時はそのハッカー技術で全体を把握して的確な指示を出すという実質的な司令塔であり、なおかつ割と情にも厚いという、まさにおいしいキャラ。

そんな彼らが挑むのは伝説の金庫職人が作り上げた、かの有名な音楽家リヒャルト・ワーグナーが書いた楽劇「ニーベルングの指環」に準えて作られた3つの難攻不落の金庫というのもロマンがある!3つはそれぞれ「ラインゴルド(ラインの黄金)」「ワルキューレ」「ジークフリート」と劇中のパートに沿った名前がつけられているんだけど、それぞれラインゴルドなら4億1300万通り、ワルキューレは2350億万通り、ジークフリートは段違いの72兆通りという素人からすると天文学的な数字のパターンから組み合わされるダイアルを突破したければならないというまさにミッション:インポッシブル!!

で、そんな金庫を一つ一つセバスティアンが開けていくんだけど、取り掛かる前からオタク心剥き出して大興奮で楽劇パートの解説したり、入念な準備体操で気合いを入れて劇中でかかるオペラを流してノリノリでチャレンジしたりとプロの金庫破りというよりかはまるで玩具で夢中で遊ぶ子どものような無邪気さで金庫破りをやってのけるセバスティアンがとにかくカッコいい!!割とスポットの当たらなかった金庫破りの描写も中のギミックが一つ一つガチャリと作動していく感じだったり、トラップに引っかかってダイアルが閉じちゃうとこなんかピタゴラスイッチみたいでめちゃくちゃ興味深いしね。

また、金庫を破るごとに一緒にその場についてきていたグウェンがセバスティアンの解説にはじめは興味なくて、早くお金を頂戴してその場を去ることばっか考えてたのに、最後のジークフリートでは「教えて」とセバスティアンの「ルーティンを受け入れる=セバスティアンその人を心から信頼できた」という関係性の変容も感じられて、良き。

だからこそ、お互いが惹かれあった後のグウェンとの別れは切なかったなぁ。

で、グウェンが残したパスポートの偽名で、彼にとっての憧れのヒーロー像であり、「アーミー・オブ・ザ・デッド」での新しい彼の名前「ルドウィック・ディーター」を名乗ることになって、今作ラストに出てくる「あの2人」と残された最後の金庫「神々の黄昏」を打ち破ることになるんだなぁ…。

ただ、結局のところ「アーミー・オブ・ザ・デッド」で明確な死亡描写はなかった(よね?)ものの限りなく生存の可能性も低いまま退場してしまった彼の末路を思うと「結局はなぁ…」ってなっちゃう感じはあるっちゃあある。だから、もしディーター目線で見直すなら「シーブス」からの「デッド」で改めて観てみるのも乙かもしれない。

まぁ、監督曰く続編の構想もあるみたいなので、いつかまたディーター再登場してくれたら胸熱だなぁ!作品単体としても面白かったです!
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