木蘭

エッフェル塔~創造者の愛~の木蘭のレビュー・感想・評価

4.0
 塔建造を背景に描かれるギュスターヴ・エッフェルと人妻とのメロドラマ。
 それと、「お父さん、良い娘さんがいて良かったね」映画。

 ベルエポックのフランスを描いた時代劇としても良く出来ていて、衣装や町並み、乗り物など贅沢に再現してくれて眼福。
 しかも、エッフェル塔の設計から建造技術、立ちはだかる困難まで、丁寧に映像で見せてくれるのは素晴らしい。建築や機械好きも楽しめるのでは?

 とにかく映像が官能的で、コーヒーカップとスプーンすらネットリと映す作品は、なかなか無い。
 ギュスターヴが元恋人のアドリエンヌと再会した夜会でのシーンでは、輪郭をぼやかしながらも匂い立つ様な彼女のデコルテの色香を映し出すし、逆にラブシーンでは彼女の身体の凹凸を強調するように撮るなど、エロティック。
 エッフェル塔のAも官能的なラインだしね。

 史実を元に自由に作った物語・・・という冒頭のテロップ通り、再会した元恋人とのラブロマンスは創作だとしても、実際にギュスターヴが青年時代に求婚した一人にアドリエンヌがいたのは史実・・・という様に、事実を上手くドラマティックなフィクションに織り込んでいる。
 21世紀に生きている僕たちは、この万博のモニュメントとして計画されたエッフェル塔が見事建造され、解体もされずに現存しているのは知っているので、塔の建造だけを物語の軸にしてもハラハラドキドキはしないけれど、上手く彼の恋物語をもう一つの軸にする事で緊張感を持って観る事が出来るってもの。

 ただヒロインのアドリアンヌをエマ・マッキーが演じているんだが、18歳のシーンと40代半ばのシーンとで、全然容姿が変わってないのが・・・。
 そもそも主人公の娘を演じるアルマンド・ブーランジュとエマ・マッキーは1歳しか違わないんだよね・・・。
 まぁ・・・ギュスターヴには、そう見えていたって事で。

 全てはエッフェル塔が見せた夢物語。
木蘭

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