このレビューはネタバレを含みます
これまでの清水崇監督の「村」シリーズのなかでも、いちばんホラーとして切れ味が鋭い作品だった。これまでのホラーとミステリー要素を絡める物語も一番うまくいっているし、Kokiの被写体としてのホラージャンルへの順応度、映え方もあってか、劇中での演出もさえわたっていた。
特に、「何かが反射する物体の使い方」や「日常から非日常への変換」という点で、目を見張るような演出が多数あったと思う。「水たまり」の場面やカメラが普通に被写体を捉えているかと思ったらそれは……というこちらをぎょっとさせる演出がうまい。
それと、清水監督の強みは「昼間」にホラー演出ができる点だ。すべてがクリアに映っているからこそできるまがまがしい演出は、『呪怨』時代から健在。どうしても明るいからこそ安心してしまうこちらの真理を突いた描写には唸らされる。
相変わらずストーリー面では納得できないところが多いが、それでもホラーとしては見て損はない良作と言えるだろう。一番どうかと思ったのは、主人公の父役をココリコの田中直樹が演じていた点。父母共に超有名なここまでのサラブレッドが演じる主人公を相手に、あのキャスティングは、なかなか納得しづらいものがある。
