MASH

スパークス・ブラザーズのMASHのレビュー・感想・評価

スパークス・ブラザーズ(2021年製作の映画)
4.0
『ベイビー・ドライバー』でアクションというジャンルにに新たな光を当てたエドガー・ライトが、今度はドキュメンタリー映画に挑戦。題材は謎に包まれたバンド「スパークス」。どんなものになるかワクワクしていたが、その期待感以上の笑いや感動、そして勇気を与えてくれる傑作ドキュメンタリーだったと言えるだろう。

ミュージシャンのドキュメンタリーなんて山ほどあって、正直あまり監督を気にしたことがなかった。だが、この作品を観たらすぐにエドガー・ライトの作品だとわかるだろう。ハイテンポな編集の中で、ドキュメンタリーという枠を広げるようにアニメーションや映画の映像や、ジョークなどの様々な要素を入れてくる。

だが、それがスパークスのドキュメンタリーという核を崩していない。むしろこのバンドの持つナンセンスさや笑い、切なさ、そして新たなことに挑戦し続ける姿勢そのものを表しているのだ。長寿バンドの歴史を網羅したドキュメンタリーなんて退屈だと思ってしまうが、この映画はエドガー・ライトの確かな監督としての力量と愛、そして進化し続ける唯一無二の存在であるスパークスの存在の間で、映画の化学反応が起きたのだ。

これほど楽しい時間を過ごせるドキュメンタリー映画は中々ないだろう。あまりドキュメンタリーとか好きじゃない人にも是非観てほしい作品。
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