市川崑監督作品初鑑賞でした。最初は東京篇と大阪篇とに分けて公開されたようですが、現存するフィルムはこちらの総集篇のみだそうです。観た感じ、本当はもっと長いんだろうな~と思ったので総集篇しか残されていないのはとても残念です。
主人公の五六を中心とした、観てるこっちがめんどくさくなってきてしまうような三角関係のお話。と言っても彼の想い人の父親や悪い人も出てくるので結構色んな事が複雑に絡み合ってる感じもします。
話は微妙だけど、映像が素晴らしいです。画角や切り取り方、アップの仕方やセット、映像を楽しむだけでも観る価値はあるんじゃないかと思います。
個人的には五六と照子の恋の行方よりも、蘭子の叶わない恋として観るほうがおもしろかったです。彼女がどれだけ彼を想っても、彼と結ばれるためなら…と何をしても相手にすらされない彼女の揺らぐ感情や、強気な態度の裏に隠された悲しみや寂しさが話が進むにつれ、愛おしく思えてくる。
蘭子が照子の絵を切り刻んだ後、金をばらまきこちらをじーっと見てその場から去るシーンがとても印象的でした。