らんらん

廓育ちのらんらんのレビュー・感想・評価

廓育ち(1964年製作の映画)
3.5
京都の遊郭末広、ここの女将三益愛子に拾われ幼少期から廓育ちの現女将三田佳子
時は売春防止法の施行が目前、そんな時勢を舞台に廓の生活に反発しながらも抜け出せない、何とか抜け出そうともがく三田佳子の物語

新文芸坐の佐藤純彌特集にて『陸軍残虐物語』に続いての鑑賞
ストーリー展開が何となく似てる、幾度も過去の回想シーンを挟みながら破滅へと向かって物語は進む

見所としては寝たきり老人となった三益愛子の悪態に三田佳子がブチ切れて何度も蹴りを入れるシーンw
この映画の三田佳子、着物姿もよく似合っていてすごい綺麗です
にもかかわらず性格はかなりキツいの、散々お世話になった三益愛子が老いぼれるとののしりなぶり、そんな姿を見てニヤニヤ
恋人梅宮辰夫の前ではしおらしくもあるんだけど、他の女と結婚する予定と聞くと毒殺して無理心中をはかろうとしたり
唯一の味方とも言える義妹佐々木愛にも散々な悪態をあびせたり

まあそうなったのは環境とかいろんな理由はあるんだけど、そんな荒んだ三田佳子を堪能出来る映画

こんな環境から抜け出したい、染まりたくないって反発していても
その環境で生まれ育ち気づかないうちに染まってしまい、今更抜け出すことは出来ない悲劇
売春防止法は施行されても手を変え残り消えない廓への悲観、外へ連れ出してくれると信じていた恋人との別れ、何だかんだ悪態をついていても身内の人々が離れていく寂しさ
クライマックスへ向けての積み重ね、盛り上げ方もいい感じ

どうしようもできないやるせなさ、そんな悲しい因果な女のお話でした
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