MasaichiYaguchi

二階のあの子のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

二階のあの子(2021年製作の映画)
3.3
田辺・弁慶映画祭セレクション2021で「偽神」と併映するために小川深彩監督が撮り下ろした最新作からは、監督の地元である沖縄の自然や地域性が伝わってくる。
本作では、母親が仕事を探す間、おばあちゃんの家に引っ越してきた未だ幼い女の子の詩織が体験する不思議で、ちょっと切ない物語が展開する。
詩織はおばちゃんの家に引っ越してから暫くして、誰も住んでいない筈の二階から足音が聞こえ、確める為、或る日詩織は意を決して階段を上っていく。
タイトルから分かるように、詩織は二階で同じ位の歳のミステリアスな女の子マリコと遭遇する。
初めはマリコの持つ“雰囲気”に気圧されていた詩織だったが、おばちゃんの勧めで少しずつ打ち解け、一緒に遊ぶようになっていく。
そして遊ぶようになってから少しずつ分かるマリコのプロフィール、何故いいつもパペット人形を左手にしているのか、母親の存在は、詩織のおばあちゃんとの関係は、これらの謎が終盤の或るポイントから一気に紐解かれていく。
物語の最後には、我々にとってノスタルジーと切なさを覚えるシーンが待っています。
小川深彩さんの「偽神」「はじめの夏」とこの最新作を観て、弱冠20歳とはいえ、監督としてスタイルが確立されつつあるように感じられる。
そのホラーテイストの作品スタイルには、「キリスト教」「親子愛」「沖縄」という要素に加え、本作にある「独居老人」「いじめ」のような社会性を然り気無く加味していて、今後どのような映画を撮っていくのか楽しみだ。