垂直落下式サミング

スーパーマン III/電子の要塞の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
当時の最先端特撮技術を使用したクリストファー・リーヴ版スーパーマンシリーズ三作目。前作と比べてコミカル色を増した演出となっていて、スーパーヒーローに芽生えた悪の心がクラーク・ケントと対峙するシーンが秀逸。善の心のほうがサラリーマンの姿で、悪を司るのはスーパーマンの姿なのだ。スーパーマンとはあくまで“力”であって、それを善のために行使するのは“人間”クラーク・ケントの高潔な人格なのである。
僕はSF映画に登場する技術者がどう描かれているのかを見るのが好きで、この映画のリチャード・プライヤー演じるコンピューター技師が大好きだ。自身が作り出したマシンが悪に荷担してしまったと知ったとき、様々な葛藤を乗り越えて、自らの血と汗の結晶をその手で破棄することを決断するシーンに泣かされてしまう。技術者が自身の技能や発明に陶酔するのは仕方ないけれど、自身の創造物が人々にどんな影響を与えるのかについては大いに責任を持つべきだ。技術屋を勇気付けてくれる作品だった。