KnightsofOdessa

春原さんのうたのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

春原さんのうた(2021年製作の映画)
5.0
[] 100点

人生ベスト。圧倒的大傑作。存在が奇跡のよう。雑にまとめると『ひかりの歌』『ひとつの歌』『四月の永い夢』というオールタイムベストが三つも集結した感じで(しかも二つはトップ10)、そんな映画に勝てるはずもなく、文字通りずっと号泣してた。あまりにも透明度が高くて、余白が多くて、さっちゃんが窓もドアも開けっ放しにしていることから視覚的にも分かる通り風通しも良くて…あの当たり前のように開け放された玄関の、"いつでも戻ってきて良いよ"みたいな感じと、自由に平和に静かに力強く空間と世界を広げていく感じが本当に心地よかった。さっちゃんの出身が北海道ということで『ひかりの歌』第三部とリンクし(ラストも重なる)、日高さんから第二部ともリンクする感じも良い。スギタ・シネマティック・ユニバース、期待してます。叔母さんと買い物に出て、当たり前のように食卓にどら焼きが三つ並び、偶然伯父さんも現れて、当然のようにあんぱんも三つ並ぶ瞬間が一番好き。あの瞬間、春原さんはそこに存在していた。

その日の終わりに杉田監督がスペースをやってたのだが、『小石』が終わった直後くらいに二人から同時に"スペースやってるよ!"と連絡が来て面白かった。

追記
コロナ禍の中でみんなマスクしてるのに人の家にあるリコーダーを見て吹くというウイルスに反抗するような行動が紡がれていくのが面白かった。ドアも窓も全部開け放たれたあの家そのものがリコーダーっぽいので、その中でリコーダーがバトンのように手渡されていく不思議さ。マスク外してるときは常に何か食べてるさっちゃんは小動物っぽいのだが、それは行動というよりも目に起因している気がする。妙子叔母さんが押し入れでリコーダーを吹いてる横で必死でとぼけるシーンの可愛さは異常。
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