登場人物たちの人物像や脚本に嫌悪感を抱いたため楽しむことができなかった。
たとえば会話がゆっくりで間合いがあるが、それは相手との信頼関係がないと現実ではあり得ない。劇中では初対面の人とさえリアリティのないテンポで会話をする。フィクションだからと大目に捉えたいところだけど、そういうリアリティの積み重ねで説得力を持たせようとする映画なので受け入れ難かった。
道案内のシーンでも女性2人が前後になって無言で歩くなんて信じられない。女性はああいうときに間埋めトークを延々と繰り広げるはずだ。ましてや主人公はみずから道に迷った知らない人に話しかけるような人物なのだから。
ロケーションがわかる要素をショットに含ませていたり、コロナ禍だったりで舞台が2020年の日本なのだから、人物像のリアリティも追求してほしかった。
脚本としては、たとえばホットコーヒーからアイスコーヒーに注文を変えるシーンがあるが必要性を感じなかった。「必要性」というと元も子もない気がするが、それがない以上つまるところ「こういう何気ない会話いいでしょ」という押し付けがましさがあるということを裏付けている。それを心地よいと感じる人は楽しめるだろうが、僕は純粋に全然興味が持てなくて、むしろそれを心地よいと思ってる脚本を「気持ち悪い」と感じた。
上記したシーンが好みに合うかどうかが、この作品の好き嫌いを明確にわけるような気がする。
ちなみにカメラワークやカットタイミングも必要以上に冗長かつ説明不足であり、そこに心地よさ感じることができずすべてに押し付けがましさ、気持ち悪さを感じた。
説明を避け続けた結果、「説明しないというスタンスを過剰説明した映画」と化した。
最後に、僕が寝ている近くでだれかにリコーダーを吹かれて、それで起きて、相手に「あ、起きちゃった?ごめんね〜」みたいな態度を取られたら、僕だったらキレます。起きるに決まってるやん(笑)