杉田協士 監督の一番好きな長編作品、下高井戸シネマの特集上映で3度目の観賞。
明と暗・静と動・哀と楽の振れ幅と、寡黙な語り口のバランスが絶妙で、飯岡幸子 の撮影も、なぜか杉田監督の他の作品に比べて本作だけ抜群に良い (良く見える)。これら全てが、近作「彼方のうた」に欠けているところだと思う。
転居先不明の判を見つめつつ 春原さんの吹くリコーダー (東直子)
特に何も起こらないのに見入ってしまう不思議。セリフも、シーンもほとんど説明なし。対象を語らず見せず、動かぬカメラ。最も雄弁なのは環境音かも。まさに短歌のような映画。
あと今回改めて思ったのは、沙知が撮られたり撮ったりする写真はそれぞれが短歌 (のようなもの) なのだな、ということ。
終映後に、杉田監督、主演の 荒木知佳と、新部聖子、名児耶ゆり によるトーク・セッションあり。監督の話は何度か聞いたことがあるが、初めて荒木さんに会えてシアワセ。