ある老人の追憶の物語。
監督でもあるロバート・レッドフォードのナレーションの語り口がそうであるように、終始落ち着いたトーンで展開していく。
釣りのことは全くわからない私でも、フライフィッシングのアーティスティックな美しさには目を見張るものがあった。
太古の時代から今に繋がる大自然に抱かれて没頭する、まるで神事のよう。
人は変わってゆくけれど、父子は互いの釣りを見て、根っこのところは変わっていないことや成長している部分を感じ取る。あの川は、父子にとって大切な「戻れる場所」。
人を惹きつける魅力と危うさを持つ弟を、若きブラッド・ピットが好演。
真面目なのは良いが「面白くない」と言われ、釣りでは「道具」に走る兄の、弟へのコンプレックス。
家族での普通の食事のシーンでひしひしとそれを感じる兄の姿に、シンパシーを感じた。
後に家族に起こる悲しい事件は、映像なしで、ナレーションで語られる。
今は一人で釣りをする老人。
自然の美しさと哀愁が、いつまでも大きな余韻を残す。
タイトルに納得。
しみじみと感じ入る大人の映画。
若き日の兄役は、当時11歳のジョセフ・ゴードン。