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リバー・ランズ・スルー・イットのaminのレビュー・感想・評価

4.1
河の流れと、乱反射する太陽光、その間を美しく交差するフライフィッシングの糸が、なんと言っても良い。動くもの、煌めくものを撮ってこそ映画である。シンプルなストーリーの中に、花火や、線路を走る車、激流の川下り、独立記念日のダンスパーティーなど、動きのあるシーンがあり、楽しい。言わずもがな、ブラッド・ピットが素晴らし過ぎる。『マネー・ボール』と『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』が彼の傑作だと思っていたけれど、不勉強ですみませんでした。あまりにも儚く、瑞々しく、何もかも魅力的でした。僕は男性で、女性が好きだけれど、性別を超越した美しさがこの映画のブラッド・ピットにはあると思った。ブラッド・ピットの出世作であり、最高傑作かもしれない今作を、若い頃の自分とそっくりのロバート・レッドフォードが監督してるのもまたすごい。

ここからはネタバレになるけれど、このブラッド・ピットの超越した美しさが、映画のストーリー上で超重要なフックになっている。誰が見ても、憧れの存在で、才能と勇気に満ち溢れているブラッド・ピット演じるポールと、彼と比べると凡庸に見えてしまう兄、ノーマン。これは兄としては辛いなぁと映画終盤まで観ているのだけれど、実は、弟のポールの方が、兄には勝てないという劣等感の中で生きていたことが分かる。この切なさと、あの最期には、寂寥感で胸が一杯になり泣いてしまう。丁寧に描いてきたことが、ラストに向けてしっかり表面張力で溢れるように作られているのも良かった。

役者の最高の瞬間を閉じ込めるのも、映画のとても大切な要素だと改めて思った。
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