てっぺい

土竜の唄 FINALのてっぺいのレビュー・感想・評価

土竜の唄 FINAL(2021年製作の映画)
3.5
【泣けるバカ映画】
頭を空っぽにして笑い続けられる、バカを徹底した映画。お色気もあれば、ファンタジーもあり、ラストでホロリとさせられる、まさに要素満載の一本。集大成らしく過去作の振り返りがふんだんで、初見でも楽しめる。

◆トリビア
○続編を“FINAL”として映画を締めくくる形で提案したのは原作者の高橋のぼる。(https://mogura-final.jp/productionnote.html)
○監督はインタビューで「自分の中にもまだ何か気持ちの中で完結していないという感じはすごくある」と話した。(https://eiga-board.com/posts/11604?p=5)
○仲里依紗演じる純奈の裸エプロンシーンがあり、隙間をガムテープでガチガチに固めて撮影した。本人は二度とやりたくないと語っている笑。(https://thetv.jp/news/detail/1058319/p3/)
○冒頭のカモメ人形は、監督が自ら手に装着して玲二の乳首をつついた。(https://mogura-final.jp/productionnote.html)
○ジャスティストリオによるラップバージョンの土竜の唄は、途中からアドリブ。(https://mogura-final.jp/productionnote.html)
○豪華客船シーンは、実際の船上ではなく、スタジオにセットを建ててグリーンバックで撮影、10トンの水を投入した。(https://mogura-final.jp/productionnote.html)
○鈴木亮平は役作りでずっとライオンの動画を見ていた。(https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202111110000679.html)
○役者への演出の際、自身が演じてみせることも多い三池監督は、頑張りすぎて第1作では足を挫いてしまい、しばらく足をひきずっていた。(https://www.cinematoday.jp/news/N0126902)

◆概要
【公開】2021年11月19日
【上映時間】129分
【原作】
高橋のぼる「土竜の唄」(シリーズ累計発行部数950万部突破)
【脚本】
「木更津キャッツアイ」シリーズ 宮藤官九郎
【監督】
「悪の教典」三池崇史
【出演】
生田斗真、堤真一、仲里依紗、吹越満、遠藤憲一、皆川猿時、岩城滉一、岡村隆史、菜々緒、鈴木亮平、滝沢カレン
【主題歌】関ジャニ∞「稲妻ブルース」

◆ストーリー
潜入捜査官「モグラ」として、凶悪な犯罪組織・数寄矢会に潜り込んだ菊川玲二の最後の任務は、6000億円の麻薬密輸を阻止すること。そんな玲二の前には、轟周宝の長男で最悪の敵となる轟烈雄が現れる。さらに謎のフェロモン美女・沙門にハメられた玲二は、恋人である純奈との修羅場を迎えるハメになり……。


◆以下ネタバレ


◆集大成
山田孝之扮する月川、猫沢と胡蜂の再登場、上地雄輔クロケンに瑛太兜に古田新太桜罵に本田翼迦蓮、そしてエンドロールの大杉漣。過去2作の映像が各所に満載で、集大成感、本作が本当にファイナルである事を製作側が念押しするような、“思い入れ”の強さを感じた。三池監督はほぼ続き物の映画を撮った事がないそうで、なおさらそんな気もする。

◆笑い
タオルを回す爺ダンサーバックのラップバージョンの“土竜の唄”(レペゼン警視庁笑)。チューを求める玲二にぶち込む福澄(その後照れる福澄笑)。ファイナルまでもちろん笑いの要素満載。個人的には玲二の“アリエールでしょ”に劇場で吹き出してしまったのが不覚笑。さらには、弾丸すら避けてしまう光速のパピヨンは、海からも脱出し、巨大マンタを呼び寄せるまさに無双状態。流石に少しついていけないレベルでの脚本の自由さ、ぶっ飛んだアイデア満載で、多いに笑わせてもらった。

◆友情
過去作で兄弟の契りを交わし、両脚を失っても玲二を守った日浦。本作でも冒頭で誕生日サプライズを仕掛けるほどの絆っぷり。轟周宝を逮捕する時、つまりファイナルの本作で必ず迎える、土竜である事を告げるエンドでどう日浦との関係を描くのか注目だった。こんなバカを徹底してる映画でまさかホロリとさせられるとは笑。玲二が土竜である事を日浦に告げた時の、生田斗真の滲み出る涙は秀逸だった。

◆鈴木亮平
前述の通り、ライオンの動画で役作りをしたという鈴木亮平。あのドスのきいた声色や、節々に出ていた獣のような仕草(菜々緒に食らいつくようなキスもすごい)、そして猫沢を爆死させる鬼の演技。「今度邪魔したら殺すぞ」。最近でいうと「孤狼の血」での怪演も記憶に新しいが、このおバカ映画で烈雄の冷徹っぷりを見事に際立たせた素晴らしい存在感だった。

◆3時21分
ラストカットの交番での玲二の後ろにあった時計がさしていた時間は3時21分。“3”と“2”と“1”がこれで本当に完結する、そんな製作陣の細かい遊び心が最後に垣間見えた気がした。
てっぺい

てっぺい