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アリスとテレスのまぼろし工場のsithmaroのレビュー・感想・評価

3.0
試写会にて鑑賞。
好き嫌いが割とハッキリ分かれそうな映画だと感じた。

作画は素晴らしいとしか言い様がない。
特に製鉄所のシーンはどれも言葉をにできない美しさであり、この映画の最大の売りと言っても過言ではないだろう。

一方で脚本と演出は残念に感じた。
とにかく重い。
最初から最後まで、ずーっと重いまま。

製鉄所の事故をきっかけに、街ごと現実とは違う世界へと閉じ込められてしまったという設定はまぁ良いのだが、とにかく救いがないし希望がない。
そんな世界で中学生の主人公たちの、やけに生々しい恋愛事情を見せるのは良いのだが、そこに比重を置きすぎたのが問題。
主人公の周りの人たちが悉く拗らせた人たちばかり。
唯一の救いは主人公のおじいちゃんか。

それと気になったのは「謎」の多さ。
良い言い方をすれば検証のすべきネタが豊富。
悪い言い方をすると劇中での説明が色々と足りず、解釈の仕方を視聴者に委ねすぎている気がした。
その最もたるものが他の方も指摘されている『アリスとテレスのまぼろし工場』というタイトルではなかろうか。
「アリス」と「テレス」、ヒントらしいヒントもなく、何かしらメッセージも感じとれず、モヤッとして心がスッキリしない。

とここまで酷評してしまったが、実は「駄作」と斬って捨てるのも勿体ないと思えるくらいには面白さも残しているが、それがまた中途半端にも思える要因なのかもしれない。
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