ノラネコの呑んで観るシネマ

アリスとテレスのまぼろし工場のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.9
これは凄い。
人間の感情全部入り、全力で心が叫びたがってる。
製鉄所の謎の爆発事故で、外界から切り離され、時間も止まった街を舞台に、永遠の14歳を生きることになった中学生たちの物語。
相変わらず凝った設定はさすが岡田麿里だが、ここから更に世界観を捻って来る。
最初の設定だけならまだ類似作が思い浮かぶが、最終的には驚くべき未見性を味わった。
いつか元通りに時間が動き出すかも知れないので、街の大人たちは変化を禁じている。
だけどすでに何周も14歳をやってる彼らは、見た目とは違って中身は大人。
人間は変化しない人生を受け入れることが出来るのか?それは果たして生きていると言えるのか?あらゆる面で閉塞した日常に、時間が止まった世界で成長を続ける少女という変数が投げ込まれ、ずっと蓋をして来た心が大爆発。
終盤は文字通りのノンストップの大活劇だ。
大人中学生の恋愛事情は赤裸々で生々しいが、この狂おしい感情こそが世界の理を解き明かしてゆく。
映像的なクオリティも高く、台詞の一字一句、画面の隅々まで作者独特のカラーが行き渡り、二作目にして傑作をモノにした。
ところでなぜこのタイトル?途中まで間違えて別の映画来ちゃったんじゃないかと思うほど、アリスもテレスもまぼろし工場も出てこないんだが・・・。
いや観てるうちに忘れてたけどさ。
ブログ記事:
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